放射線科

X線TV装置

  「バリウム検査」で使用する装置といえば連想していただけると思います。 実際はそればかりではなくいろいろな検査に用いられますが、当院では検診を行う関係で主に消化管造影(上部消化管、下部消化管)を行っております。
  この検査は造影剤(バリウム)を飲んで食道、胃・十二指腸(以下、上部消化管と呼びます)へのバリウムの流れや通過の様子、各臓器の形や動き、粘膜の状態を見る検査で、上部消化管の機能や潰瘍、がん、ポリープなどの病変の診断に用いられます。 この装置はX線を用いて、造影剤の流れや溜まった状態を、モニターを介してリアルタイムで観察することができ、リモートコントロールで透視台を動かしながら最適の位置で上部消化管のエックス線写真撮影を行うことができるようになっています。

またほぼ同様な方法で肛門から造影剤を入れて、主に大腸を撮影する方法を下部消化管造影といいます。

学会認定資格等

  • ・胃がん検診専門技師認定資格(日本消化器がん検診学会認定)
  • ・胃がんX線検診基準撮影法指導員資格(NPO日本消化器がん検診精度管理評価機構認定)

骨密度測定:DXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry)法による骨量測定

骨粗鬆症

 骨粗鬆症とは遺伝的要因、加齢、女性の場合は閉経などによりホルモンバランスの崩れが原因で骨密度が低下し、骨が脆くなり骨折が起こりやすくなる病気です。そのため、転んだり、階段を踏み外すなど、ちょっとしたことでも骨折する可能性が高くなります。
 例えば大腿骨を骨折すると外科的な処置や早期のリハビリによって改善はしますが、骨折後に寝たきりとなるなど介護が必要となることも少なくありません。また椎体骨折では骨が癒着した後も椎体変形が残り、脊柱の変形や姿勢の異常をきたすため、多くの患者が慢性的な腰背部痛を抱え、生活が制限される可能性があります。
ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)やQOL(Quality Of Life:生活の質)を維持するためにも自分の骨密度を知っておくことは重要なことです。

当院では骨密度測定においてDXA法で腰椎と股関節の二部位測定を行います。

図1
図2

 DXA(デキサ)法とはエネルギーが異なる2種類のX線を測定部位に当てることにより骨成分を他の組織と区別して測定する方法です。この測定法では1 cm2当たりの骨量(g/ cm2)、つまり骨密度として表現されます。現在、骨密度測定法にはさまざまな方法があますが、得られる骨量の指標などの基本性能が異なります。現時点ではDXA法は信頼の高い骨量測定法であり、骨粗鬆症診断基準(2015年版)でもDXA法を用いて計測することが推奨されています。

 椎体骨折は最も頻度が高い骨粗鬆症骨折であり、70歳代前半の25%、80歳以上では43%が有すると言われ、70歳以降の骨折患者ではその半数以上が複数の椎体に骨折を有します。骨折が多発すると脊柱後弯をきたし、それが強くなると立位姿勢維持のために多くの筋肉の緊張が強くなることで身体動作を行う筋力に余裕がなくなります。そのためとっさの危険回避動作ができにくくなり、転倒等による骨折に繋がる可能性も高くなります。

 特に大腿骨頸部骨折では著しくADLが低下し、高齢者では寝たきりになる可能性も高くなります。

 診療では骨粗鬆症の引き金となる腰椎(図1)とQOLに大きくかかわる大腿骨頸部(図2)の二部位で骨密度を測定します。

 当院では昨年度に透視台(バリウム検査で用いる検査台)のオプションとして購入しました。この装置ではX線透視※1で腰椎の位置を見ながら正しく整位できるため、定期的な検査でも再現性良く精度が高い測定ができます。また撮影時間が約10秒と短い※2ため、受診者の負担も軽減することができます。

  • ※1 一般的なDXA専用機では透視機構はないので骨の位置確認はできません。したがって体表面から見て整位するのみで、撮影者の経験に左右されやすく再現性はよくありません。
  • ※2 測定には骨の輪郭を正確にトレースする必要が有るため、結果が出るまでに20分程の時間がかかります。

骨密度検査の対象となる方

  • • 65歳以上の女性、また危険因子(喫煙、飲酒、骨折の家族歴)を有する65歳未満の閉経後から閉経周辺期の女性
  • • 70歳以上の男性、また危険因子を有する50歳以上70歳未満の男性
  • • これまでに転倒などの軽い衝撃により骨折を起こしたことのある方
  • • 骨粗鬆症をきたす病気(関節リウマチなど)にかかっている方やそれを引き起こす薬剤(ステロイド剤など)を投与されている方