放射線科

骨密度測定:DXA(Dual-energy X-ray Absorptiometry)法による骨量測定

骨粗鬆症

 骨粗鬆症とは遺伝的要因、加齢、女性の場合は閉経などによりホルモンバランスの崩れが原因で骨密度が低下し、骨が脆くなり骨折が起こりやすくなる病気です。そのため、転んだり、階段を踏み外すなど、ちょっとしたことでも骨折する可能性が高くなります。
 例えば大腿骨を骨折すると外科的な処置や早期のリハビリによって改善はしますが、骨折後に寝たきりとなるなど介護が必要となることも少なくありません。また椎体骨折では骨が癒着した後も椎体変形が残り、脊柱の変形や姿勢の異常をきたすため、多くの患者が慢性的な腰背部痛を抱え、生活が制限される可能性があります。
ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)やQOL(Quality Of Life:生活の質)を維持するためにも自分の骨密度を知っておくことは重要なことです。

当院では検診・骨密度測定において腰椎DXA法を用いています。

 DXA(デキサ)法とはエネルギーが異なる2種類のX線を測定部位に当てることにより骨成分を他の組織と区別して測定する方法です。この測定法では1 cm2当たりの骨量(g/ cm2)、つまり骨密度として表現されます。現在、骨密度測定法にはさまざまな方法があますが、得られる骨量の指標などの基本性能が異なります。現時点ではDXA法は信頼の高い骨量測定法であり、骨粗鬆症診断基準(2015年版)でもDXA法を用いて計測することが推奨されています。

 椎体骨折は最も頻度が高い骨粗鬆症骨折であり、70歳代前半の25%、80歳以上では43%が有すると言われ、70歳以降の骨折患者ではその半数以上が複数の椎体に骨折を有します。骨折が多発すると脊柱後弯をきたし、それが強くなると立位姿勢維持のために多くの筋緊張が強くなることで身体動作を行う筋力に余裕がなくなります。そのためとっさの危険回避動作ができにくくなり、転倒等による骨折に繋がる可能性も高くなります。

 この骨粗鬆症骨折の引き金といえる腰椎の骨密度を直接測るため、精度が高い測定と言えるでしょう。

 当院では昨年度に透視台(バリウム検査で用いる検査台)のオプションとして購入しました。この装置ではX線透視※で腰椎の位置を見ながら正しく整位できるため、毎年の検診でも再現性良く精度が高い測定ができます。また撮影時間が約10秒と短いため、受診者の負担も軽減することができます。

  • ※ 一般的なDXA専用機では透視機構はないので骨の位置確認はできません。したがって体表から見て整位するのみで、撮影者の経験に左右されやすく再現性はよくありません。
  • ※ 骨粗鬆症の診断と治療方針の決定は骨密度測定の検査のみではなく、胸腰椎のエックス線撮影や場合によっては他の検査も行ったうえで医師が総合的に判断してはじめて診断となります。